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アジアハイウェイ

 以下は2004年6月3〜5日に『裏凡identity market』に発表した文章の再録です。
 再録にあたり前中後3編を統合し加筆修整。またリンク先の説明を最新のものに改めました。

 道路とは何か?本来何であるべきなのか?
 道路特定財源の論議がかまびすかしい今、皆さんにも考えてもらいたいです。

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 アジアハイウェイをご存知だろうか?
“昔教科書に書いてあったような気がするけど・・・”
 実態は知らない人が多いのではないだろうか?

「アジアハイウェイ」はアジア32ヶ国を結ぶハイウェイ。1959年に国連が提唱、60年代末より各国が協力し整備を進めてきたアジア最大のプロジェクトだ。ベトナム、カンボジア、スリランカ、カシミール、アフガニスタン、イラン・・・アジアが戦争に明け暮れた70-80年代は存続自体が危ぶまれた。しかし情勢が一応の収まりを見せた80年代末にプロジェクトが再浮上。中国、ロシア、韓国、北朝鮮等も加わり、現在は1号線(AH1)から87号線(AH87)まで欠番除き55本、総延長14万kmにも及ぶ壮大な国際道路網となっている。
 だが残念なことにアジアハイウェイへの日本人の関心は低く、政府も付き合いで金は出すけど参加はしないというひねくれた態度をとり続けてきた。結果日本は他の島国(インドネシア、フィリピン、スリランカ)も含め全アジアが参加するこのプロジェクトの唯一の不参加国〔※1〕となり、今さら脱亜入欧かい?とアジア各国の失望を買う結果となっていたのだ。

 昨年11月、ようやく日本も参加を表明。そして今年の4月26日、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)総会にて正式に調印。アジアハイウェイの仲間入りを果たした。
 今までのドライな態度にもかかわらず、大国・日本の参加は熱烈な歓迎を以ってアジア各国に迎えられた。その歓迎ぶりは、今回の総会でアジアハイウェイ1号線(AH1)の起点を東京に移すという栄誉を授かったということからだけでも分かるだろう。

 アジアハイウェイは国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)が主導する立派な経済プロジェクトだ。
 だが、アジアハイウェイは産業道路ではない。アジアハイウェイは心を結ぶ希望の道路。アジア各地の人々の、平和と共存への願いをこめた象徴だ。
 象徴だからプロジェクトとしては道は作らない。〔※2〕既存の道路に「アジアハイウェイ(AH)」の名を付けるだけ。近道せずに各国を結ぶ。フェリーで渡る区間もある。2車線・舗装という最低基準以下の道路が総延長の約1割。中国には未整備区間が多く残り、北朝鮮に至っては道路の状態すら公表していない。
 アジア各国の足並みも揃っているわけではない。理由はよく分からないのだが、今回の総会でも6ヶ国が調印を保留している。シンガポール、マレーシア、フィリピン、トルクメン、そしてアジアハイウェイ1号線(AH1)のルート上にある北朝鮮とバングラディッシュ。特にASEAN中核3国の保留は気になるところだ。〔※3〕
 それでも日本の調印を含む今回の総会の決定によって、プロジェクトは本格的に動き始めたといってよいだろう。

 残念ながら未だアジアハイウェイに対する日本人の関心は低い。ニュースの扱いも小さいし、資料すらロクに見つからない。道路作りを経済振興や雇用対策としてしか考えられない日本人らしいと言えばそれまでだが、アジアの希望の道にも少しは目を向けてもらいたいものである。

 最後に、日本が起点となったアジアハイウェイ1号線(AH1)の経路を紹介しておく。日本、韓国、北朝鮮、中国、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマー、バングラディシュ、インド、パキスタン、アフガニスタン、イラン、トルコ。14ヶ国2万kmを経てヨーロッパに続く、アジアハイウェイ最長の道だ。
 壮大な風景、さまざまな民族、いにしえの遺跡、戦いの歴史、そしてひとつになったアジアの未来・・・想像力をせいいっぱい膨らまして、まだ見ぬ道を走って欲しい。やがてアジアハイウェイの意味が、そして日本が(たとえフェリーでであったとしても)アジアハイウェイにつながる意味が、自ずと見えてくるだろう。

AH1:
東京―福岡―(フェリー)―プサン―ソウル―ピョンヤン―瀋陽―<整備中>―北京―武漢―広州―<整備中>―南寧―ハノイ―ホーチミン―プノンペン―バンコク―ヤンゴン―ダッカ―カルカッタ―ニューデリー―イスラマバード―カブール―テヘラン―アンカラ―イスタンブール―トルコ・ブルガリア国境(ヨーロッパ・ハイウェイへ接続)

詳しくはUNESCAPのホームページに掲載されている地図を参照されたし。トップページの左上のリンクから「The Asian Highway」>「Map」と進むべし。また国別の詳細なルートや距離は「Asian Highway Database」にある。
一応直リンも置いておこう。ただしよくアドレスが変わるのでリンクが切れていたらトップページから進んでくだされ。
http://www.unescap.org/ttdw/common/TIS/AH/maps/ah_map_2007.jpg


〔※1〕正確には東ティモールとブルネイの2つの小国も参加していない。

〔※2〕もちろん道路整備の根拠として「アジアハイウェイ」の名が使われることはある。

〔※3〕ロシアとインドが調印していないと一部マスコミで報じられたが、これは完全な誤報。事務手続きが遅れただけで翌日にちゃんと調印している。


【参考資料】
United Nations Economic and Social Commission for Asia and the Pacific(UNESCAP)The Asian Highway
(Copyright© 2004 UNESCAP、2004年6月3日掲載版)[http://www.unescap.org/ttdw/index.asp?MenuName=AsianHighway]



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以前UNESCAPのホームページに掲載されていた詳細版の地図が見当りません。ウィキペディアに同等の地図が掲載されていますので、とりあえずコチラのリンクも貼っておきます。
ウィキペディアのアジアハイウェイのページ

なお調印を保留した6ヶ国がその後調印いたか否か、ちょっと調べてみたのですが、確実な資料を見つけることが出来ませんでした。
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